MegaWebとMiniWeb [/AsagumoWeb/Article]

大きなサイトと小さなサイト

現在、Webには様々なサイトが存在している。 私はのWebサイトに次のような分類して考えている。 その分類の方法とは、サイトの大きさ、規模だ。
例えば、Wikipedia2ちゃんねるのようなサイトは、 到底一人では作る事のできないような規模に成長していて、 一人の人が一生かかって書き続けても到底書き上げられない程の量のデータが集積されている。 しかも、その量の膨大さは指数オーダーで増えているように見え、 もはや全体を見る事すら不可能である。
一方、個人が運営しているサイトも依然として大量にある。 個人が作るサイトであるため、 一つのサイト内での情報量は限られているがその代わり、 その道のプロが作っているサイトは詳しい情報を得る事ができる。
私はこの大きい規模のサイトと小さい規模のサイトをMegaWebとMiniWebと名付ける。

このArticleは某誌に寄稿した文章の再掲です。 編集者校正前の文章ですので、一部読みにくいものがあるかもしれません。

MegaWebの利点

MegaWebの利点は、主に分類だと思われる。
つまり、一つの事に関する情報は一箇所にまとまっているという事だ。
これについて、MegaWebとMiniWebについて考えてみよう。

例えば、「ドラク工」の新しいゲームが発売されて、 あなたはその攻略情報が欲しいとする。
この場合、Googleなどの 検索エンジンを使って攻略情報が書かれたサイトを探しにいくというMiniWeb的な探し方と、 2ちゃんねるのゲーム攻略掲示板を見に行くというMegaWeb的な探し方が存在する。

MiniWebを見る場合、攻略情報が書かれたサイトは複数あるだろう、 あなたはGoogleでヒットした10件のサイトを見てまわり、 その中から、必要な情報を探す事になる。
どのサイトに必要な情報があるか分らないし、 そもそもその情報がどこにも無いかもしれない。 さらに、サイトによって書いてある事が違ったらもう目もあてられない事態に陥いるだろう。

一方MegaWebを使う場合はそのような問題は無い。
2ちゃんねる の ゲーム攻略 掲示板を見て、 「ドラク工」の攻略情報が乗っているスレッドを見れば良い。 必要な情報はすべてそこに載っているし、 矛盾する情報があっても、スレッドの中で解決される。

このようにMegaWebはMiniWebに比べて見る場合に情報を取得しやすいという 利点があると思われる。
では、逆に情報が集まるという立場から考えると、MegaWebはどうだろうか?
一般的に、情報は一つに集まりやすいと言われている。 私が2ちゃんねるを見ていても、やはり、情報は一つに集まりやすいという 性質があるように見える。
例えば、2ちゃんねるで、同じ内容のスレッドが複数作られるという、 「乱立」と呼ばれる問題が発生する事がある。 「乱立」状態に陥ると、乱立したスレッドに情報が分散し、情報が分散してしまう可能性がある。 しかし、この「乱立」状態はすぐにどちらかのスレッドにまとめられて統一される。
このようになる理由は次のような物ではないかと私は思っている。 まず、情報を発信する、すなわち、掲示板に書き込む人は、読む人でもあるため、 情報が集まっていて欲しいという希望がある。 2つめの理由は、この希望をかなえるために必要なコストが小さい事だ、 先に伸べたように、MegaWebでは既に情報が集っている場所を探す事が簡単だ。
一般に言われている「情報がある場所には情報が集りやすい。」と言われるのは、 この辺りが理由ではないのだろうか?

MiniWebの利点

MegaWebの利点が分類なら、MiniWebの利点はロバスト性である。
MiniWebは複数のレイヤでのロバスト性がある。

まず、物理レイヤでのロバスト性がある。 2ちゃんねるを利用している人なら、 サーバーが落ちていたり、 「人大杉」と呼ばれるサーバー負荷が高くて ページが見れない状態を体験した事があるだろう。
この問題は今のMegaWebが集中システムである事に依存する問題で、 本質的に回避する事はできない。
一方、MiniWebの場合、全てのページがいきなり見れなくなる可能性はほぼ0である。

また、政治レイヤでのロバスト性もMiniWebの特徴として一般に言われる事である。
例えば、企業告発などの内容に関して、一つのサイトに情報を載せた場合、 そこに圧力をかけ、情報公開をやめさせるという事があると言われている。
このような場合でも、多数の別なWebサイトに情報が載った場合、 例えば、その告発の内容が有名になって多数のBlogに転載された場合、 その情報を消すのは不可能だと思われる。

このようにMiniWebは情報が生き残る強さがある。
これらの話をまとめると、ユーザーによって使いやすいMegaWebと 生き延びやすいMiniWebという構図が浮びあがってくる。
そこで、この2つのWebへのP2Pが持てるアプローチを考えてみたい。

P2PとしてのMiniWebへのアプローチ

P2P技術を使って、MiniWebを使いやすくするにはどうしたら良いのだろうか? 考えられるのは標準化という考え方だ。 例えば、次のような場合はこの考え方で考えられる。

良く使われるWeb日記ホスティングサービスに はてなダイアリーというサービスがある。
はてなダイアリーの利用者が増えている一因として、はてなキーワードという物がある。 このはてなキーワードとは、日記に書かれている固有名詞、 例えば有名人の名前や書籍の名前などを自動的にリンクに変え、 そのキーワードの意味や同じキーワードが書かれている他の日記を紹介するサービスである。
このサービスはMegaWebだからこそできるサービスで、 ユーザーごとに個別にサービスするのではなく、 多数のユーザーのデータを処理する事によってはじめてサービスを行う事ができる。
MiniWebで実装している物は現時点では存在しないと思われる。

逆に次のようなソフトウエアがある、 2004年度のIT流行語にも選ばれたBlogと呼ばれるツールには、 TrackBackと呼ばれる機能が付属している。
このTrackBackと呼ばれる機能は、他の人のBlogにあるエントリ同士を 議論の流れとして関連付けするための機能で、 XML-RPCなどの分散技術を用いて、違うサーバー上に設置されている、 Blog同士を繋ぐ事ができる。
TrackBackは既にほとんどのBlogツール・2ちゃんねる・Wikiなどの 様々なWebアプリケーションで実装されていて、これらの間を繋ぐ事ができる。
また、TrackBackのような最近のツールを例に出さずとも、 Web上にはWebRingなどのソリューションは存在した。 WebRingは90年代には既に存在していた。

この2つのサービスから分る事は、MegaWebで実現されている機能でも、 場合によってはMiniWebで実現できるかもしれない、という事である。
では、どのようば場合で有効なのか、それは標準化が鍵を握っている。 先のTrackBackの例でもそうだが、Web内の全てのページが同等の機能を持っていれば、 それは、MegaWebが行えるのと同じ情報の活用ができる。 全てのページが同じ機能を持つために、必要なのが標準化である。
言い変えれば、別々であった個々のMiniWebにMiniWeb全体という集合の方向性を システムレベルで統一できれば良い。

P2PとしてのMegaWebへのアプローチ

逆にMegaWebをP2Pの技術を使用して強化する事も考えられる。
MegaWebの弱点である、集中システムであるという事は、 P2Pが得意とする、集中システムから分散システムという流れを適応する事で、 解決する事ができると思われるからだ。

しかし、現実問題として、集中システムに特化されているMegaWebを、 分散システムとして改良する事は難しい。
いくつかのプロジェクトがこの問題に取り組んでいるが、 今のところ、解決される気配は無い。 私は、MegaWebを分散システムとして設計しなおす必要を感じる。

AsagumoWebはどちらに進むのか?

P2PWebを設計するには、以上の点を踏まえて行う必要がある。
その中で、私はAasgumoWebには、 MegaWebをP2P化するというアプローチを取りたいと思う。
MiniWebの上でP2Pシステムを設計するというアプローチを取る人は、 既にいくつかあり、それなりに成功を収めているという理由もあるが、 現在のMegaWebの集中システムというあり方に 強い疑問を感じるという理由が大きい。
少なくとも、現在のMegaWebよりはクールな物を作りたいと思う。

次回は、AsagumoWebを例に出してP2Pのネットワークトポロジーに踏み込んだ内容を書きたい。

at 2005-04-17 13:38 / permalink

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Comment

造語のセンスがいいですね。
僕は「集中」と「分散」というくらいにしか呼べませんでしたから。
そしてMiniWeb上にMegaWebを実装するためにいくつかモデルを考え、
実験もしましたが、うまくいきませんでした。

一方でMegaWebの代表である2chも、同じ話題で複数のスレッドが立ち、
ある話題に関してだけでも全体を把握することが難しくなっています。
いわばMegaWebのMiniWeb化です。
MegaWebとして設計されたはずの、
2chに比べれば遥かに小さな規模の新月でさえ重複スレッドがあります。

どうも人間の性質としてMiniWebを指向する面があるのではないか、と考えています。
つまり自分が管理者になって好きなようにやりたい、とか、
あるスレッドを、ある話題の場してみるだけでなく、
例えば嫌なユーザがいるから避けようとする意識などがあるのではないか、と。
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